小説「凶犬の眼」を読んだ:仁義入門としてヤクザものを楽しもう!!

 小説「凶犬の眼」を読み終わったのて、感想を書いていく。

 

作品メモ

凶犬の眼 著:柚月裕子 出版社:角川文庫 344ページ

新刊を本屋で買って読んだ

 

広島県呉原東署刑事の大上章吾が奔走した、暴力団抗争から2年。日本最大の暴力団、神戸の明石組のトップが暗殺され、日本全土を巻き込む凄絶な抗争が勃発した。首謀者は対抗組織である心和会の国光寛郎。彼は最後の任侠と恐れられていた。一方、大上の薫陶を受けた日岡秀一巡査は県北の駐在所で無聊を託っていたが、突如目の前に潜伏していたはずの国光が現れた。国光の狙いとは?不滅の警察小説『孤狼の血』続編!

読んだ理由

・「孤狼の血 LEVEL2」を劇場で見て、面白かったから、観たその足で買った。

・2021年9月ごろに買ったのに今ごろ読み終わるのやばすぎる(笑) 今年はちゃんと活字を読もう。

感想

 昨年、僕のなかでヤクザがブームであった。ヤクザブームの理由は、以下の画像を見ていただければわかる。

 

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ヤクザゲームに80時間を費やしていた

 初めて「龍が如く7」にて龍が如くシリーズをプレイし、そこから「ジャッジアイズ」をプレイしてヤクザに興味を持った。その後、ネットフリックスで「孤狼の血」を観たあと(2日続けて観た記憶がある)、劇場にて「孤狼の血LEVEL2」を観た。その足で行った本屋で、本書「凶犬の眼」を購入した。

 詰まるところ、僕はドンパチと怒号とバイオレンスが好きだった。それを求めて上述したようなエンタメを楽しんだし、「アウトレイジシリーズ」が配信サービスで配算がなく悲しい思いをしていた。したがって、映像・音声に頼らない「活字」という媒体ででは、ヤクザものは楽しめるのだろうか? という疑問をいま振り返って思うが、「孤狼の血LEVEL2」の興奮にあてられていたのだろうと思う。

 本書「凶犬の眼」は、静かな作品であった。僕が求めていたドンパチと怒号とバイオレンスは無かったものの、活字という媒体では非常におもしろかったと思う。活字でドンパチをしても脳内妄想力によって面白さが変わってくるので…。

 この作品は、「仁義と正義」の話である。ヤクザものである国光を通じて、仁義のあり方を描く。自分が信じたもの・惚れたものに筋を通し続けるヤクザの国光の姿勢は、正直かっこいい。一方で、主人公の日岡も社会正義を守る立場でありながら、自分の信じた、あるいは前作での大上の信じた(僕は映画しか知らないけど)正義を完遂するため、国光と杯を交わす。解説にもあるとおり、「仁義」としてなったんだろう。

 最近の世の中では、狂ったような事件が立て続けに起きている。「マスクをしてほしい」や「たばこをやめてほしい」と言っただけで暴力を振るわれるし、入試当日に刃物を振り回す人間は現れるし、SNSでは暴言が飛び交っているし、有名人は不倫をしまくり喜んでニュースで流されるし、統計は改ざんされる。今の世の中には、「仁義」が足りてないんだろうなと感じる。「お天道様が見ている」という感覚をヒジョーに僕は持っているのだが(信号無視もしない)、もはやそのような感覚は稀少なものなのかもしれない。

 結論は、ヤクザモノを見て、「仁義」を学ぼう!! ということである。この作品で好きなのは、「仁義」をたてに好き放題をすると報いを受けることを描いているということ。国光は最後に報いを受け、ヤクザと杯を交わした日岡も消えない傷を負う。悪いことはよくないね。お天道様が見ているぞ。