「Pokémon LEGENDS アルセウス」をクリアしたので感想を書く。ネタバレは基本的にはない。
作品メモ
Pokémon LEGENDS アルセウス(Switch)2022年1月28日発売
クリアまでのプレイ時間:約20時間
プレイした理由
・ポケモンシリーズのファンだから。
・ポケモンシリーズの新機軸を打ち出そうとしている作品なのでマストバイだと考えた。
感想
先月、ポケモンビジネスの歴史を記した「ポケモン・ストーリー」を読んだ。その中に記載されていた内容に、「ゲーム開発とは動詞をつくることだ」という一文があった。これまでのポケモンシリーズが「交換する」という動詞を体現したゲームであるならば、今回のポケモンレジェンズアルセウスは「投げる」という動詞を体現したゲームである。
今作は兎にも角にも投げて投げて投げまくる。ボールはもちろん、木の実も投げる。ボスポケモンとの戦闘もまさかの主人公がシズメダマを投げて投げて投げまくっていく。この文章だけを見るとゲームの面白さに疑問符が付くが、そこはさすがのゲームフリークと任天堂といったところで、中毒性のあるゲームデザインとポケモンキャラクターの圧倒的ブランド力によって、非常に魅力的な作品に仕上げている。
「投げる」を昇華させるゲームデザイン
単に「投げる」といっても、そこには様々なものがある。これまでのポケモンシリーズに出てきたモンスターボール系統は、通常どおり放物線を描いて飛んでいく。フェザーボール系統は、まっすぐに飛んでいく。ヘビーボール系統は、重いためわずかしか飛ばない。単純にポケモンを捕まえるための「投げる」だけでも、使い分けがある。加えて、後ろからボールを投げて「背面取り」が成立したときのSEやエフェクトが気持ちいい。ボールを投げ続けずにはいらない。
また、木の実や鉱石を集めるためにも、手持ちのポケモンの入ったモンスターボールを「投げる」必要がある。経験値やクラフトアイテムが手に入るという実利はあるからなのか、気持ちが良いからなのかわからないが、ついつい投げ続けてしまう。アイテム回収時にはカットインが入らず、移動しながらボールを投げることができるのも良いゲームデザインだ。移動ついでにどんどんボールを投げてしまう。
これまでのポケモンシリーズではできなかった、しかしポケモンプレーヤーが目にしてきたモンスターボールを「投げる」ということの気持ちよさをようやく経験することができる。これがこのゲームの面白さの神髄である。
やや単調なゲームストーリー
その一方で、ゲームストーリーは単調さが否めない。通常のゲームプレイが魅力的すぎるがゆえの難点であると思うが、ストーリー展開が鬱陶しく感じられる場面もあった。おれはポケモンを捕まえたいんだ!! という気持ちを抱いてるときに、ストーリーの都合でのエリア移動やカットインが入るのはテンポが悪い。
正直なところ、ヒスイのすがたの新しいポケモンをゲームに目立つかたちで登場させる機能と伝説のポケモンをゲームに登場させる舞台装置である、という感想を持たざるを得ない。とはいえ、決してつまらないわけではないのだが、「ブラック・ホワイト」で硬派なストーリー展開を経験した往年のポケモンファンは、高望みをしてしまうものだ。
今後の「レジェンズ」について
今回の「ポケモンレジェンズ:アルセウス」は、成功と言えるだろう。ゲームデザインは仕上がっているし、加えて「ポケモンスナップ」的な面白さがある。好きなポケモンをボールから出して眺めているだけでも楽しい。ある種、キャラクタービジネスとしての集大成のような気もする。
一方で、本作のストーリーがうまーく展開できたのは、シンオウ地方の伝説のポケモンが「時間」と「空間」を司るポケモン、加えて創造主アルセウスが幻のポケモンとして存在していたからに他ならない。他の地方でこのストーリーが成立するかというと難しいかもしれない。
とはいえ、期待はしてしまう。「ポケモンレジェンズ:ミュウ」や「ポケモンレジェンズ:セレビィ」の発売を心待ちにしながら、ヒスイ地方のポケモン図鑑を完成させるために本作プレイし続けたいと思う。