映画「ゴーストバスターズ/アフターライフ(2022)」を観た:ノスタルジックな気持ちをくれる作品、ただちょっと退屈か

 映画「ゴーストバスターズ/アフターライフ」を観たので、備忘のためにネタバレありで感想を書く。

映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』 2022年2月4日(金)全国ロードショー| オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

 

作品メモ

ゴーストバスターズ/アフターライフ 2022年2月4日公開 124分 ソニーピクチャーズ

よく行くデカ映画館で観た

母と兄(フィン・ウォルフハード)と共に田舎に引っ越してきたフィービー(マッケナ・グレイス)は、祖父が遺(のこ)した古い家で暮らし始めるが、街ではおよそ30年にわたり原因不明の地震が続いていた。ある日、フィービーは床下で不思議な装置を見つけ、さらに祖父の遺品を探るうちにゴーストを捕獲するための装置「プロトンパック」を発見。その後、彼女は祖父がかつてゴーストでいっぱいのニューヨークを救った「ゴーストバスターズ」の一員だったことを知るが、街はさらなる異変に見舞われる。

movies.yahoo.co.jp

観た理由

・以下の思い出があり気になったから。

 中学生のころの友達にTくんがいた。Tくんは生粋の映画好きであった。ジャージャービングスのシャーペンをよく自慢してきていた。その後、ヤンキーに奪われて泣いていた。当時はシャーペンくらいで…と思っていたが、今ならよく気持ちがわかる。好きなもののフィールドに他人に土足に踏み込まれるのは心地よいものではない。例えば僕は好きな映画の公開日、ゲームの発売日に有給を取るが、「そんなことで?」みたいな顔をされることがある。貴方にとっては「そんなこと」かもしれないが、僕にとってはそんなことではないのだ。当時の中学生の僕は映画に興味なかったので「そんなことで?」とTくんに対して思ったのだが、今思うと彼の映画体験も含めて踏みにじられたから悔しかったのだと理解ができる。ただ地方の公立中学に大事なものを持ってくるとそうなるよ…という気持ちは、当時も今も変わらないのだけれど。

 話が逸れてしまったが、Tくんは機嫌がよいとき、あのリズムに合わせて「ゴーストバスターズ♪」と言っていた。Tくんの声と笑顔が脳内再生ができるほど、鮮明に覚えている。そんな映画好きのTくんのことを思い出して、僕はこの映画を観なければならない、と思った。

 

感想

 僕は、本作を観るための予習として、「ゴーストバスターズ(1984年)」と「ゴーストバスターズ2(1989年)」を視聴した。どちらの作品も、「起:キャラ周りの紹介 承:異変の調査 転:ラスボスの目覚めとゴースト祭り 結:ラスボスとのバトル」で進んでいく。あまり古い映画は得意じゃないのだけれど(単に最近のエンタメのほうが視覚的にはスゴイという意味だが)、前半は登場キャラクターたちの軽快な掛け合いが楽しかったから、後半は80年代の当時のモノだけれど特撮技法を駆使した画づくりが楽しかったから、つまるところ、とても面白く鑑賞することができた。心の中のTくんと肩を組んで「ゴーストバスターズ♪」と歌うことができるようになったのである。

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Tくんきみはこの予告編で何思う

 そして本作。結論から言うと、やってることはこれまでと同じである。よく言えば原点回帰あるいは王道、悪く言えば焼き直し、だろうか。どちらかというと、僕は「焼き直し」のような印象を抱いてしまった…。前半のパートは、すこしワケありな家族関係と本作の舞台のサマーヴィル周りの説明、また引っ越した先でのバスターズのレーザ装置や車関係の深堀が続く。前作までの軽快な掛け合いを期待していたからか、それとも僕が前作を観たのが直前だったから(あるいは寝不足だったからか)かはわからないが、少し退屈に感じてしまった。ややマジメ気味に進むきらいがあるからなのか、少し、いや正直にいうとわりと退屈な前半パートだった。

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ポッドキャストくんは前半の清涼剤であった

 

 後半パートは、いよいよ「転:ラスボスの目覚めとゴースト祭り 結:ラスボスとのバトル」である。前半パートで出てきたのが鉄食いザコゴーストだけだったので、ここにきての焦らしだろ!? と期待値を爆上げしていたのだが…。前2作ほどのゴースト祭りにはならず、いわゆるモブゴーストは前半の鉄食いとガイコツコーヒー好きとデカ目だけであった…。さびれた町が舞台なので、きっとゴーストたちも過疎化しているのだろうけれど…。

 ただ、「結」まわりの表現はヒジョーに好き。ゴーザが目覚めたあとの神殿と番犬たちは、どこかチープさが漂うVFXの仕上がりになっていた。バキバキの現代のVFXで再現しないところは、非常にスキな表現である。番犬のCGもどこか特撮感があり、ゴリゴリのVFXじゃないところに上手く言語化できないが愛を感じた。そして集大成的な作品でお約束もあるラストバトル。このあたりは普通に目頭が熱くなった。

 僕がこの映画を上記のようにとらえたのは、直前に前2作品を観てしまったからだろうと思料する。幼いときに見ていた人、あるいはリアルタイムで見ていた人では、まったく違う印象を抱いたはずである。幼いころからゴーストバスターズが好きだったTくんが、この映画を観たら何を思うだろうかと思わずにはいられない。

 過去の友達は大事にしたほうがいい、そんなメッセージをこの映画から受け取ったような気がする。なかなか会えないこのご時世だから、なおのことだ。

 ここまでの書きっぷりと映画のラストシーンを重ね合わせるとTくんが故人のような文章になって笑ってしまったが、疎遠気味ではあるが元気である。今度地元に帰ったときにでも連絡してみよう。