映画『死刑にいたる病(2022年)』を観た:恐怖の阿部サダヲ!!めちゃおもろいサイコパス・ホラー・サスペンス!!

カッコ死刑にいたる病」ポスタービジュアル [画像・動画ギャラリー 1/6] - 映画ナタリー

作品メモ

死刑にいたる病 監督:白石和彌 2022年5月6日公開 129分 クロックワークス

近所のデカ映画館のレイトショーで観た

理想とはかけ離れた大学生活で悶々とした日々を過ごす筧井雅也(岡田健史)のもとに、ある日1通の手紙が届く。それは大勢の若者を殺害し、そのうち9件の事件で死刑判決を受けている凶悪犯・榛村大和(阿部サダヲ)からのもので、「罪は認めるが最後の事件は冤罪(えんざい)だ。犯人はほかにいることを証明してほしい」と記されていた。かつて筧井の地元でパン屋を営んでいた旧知の榛村の願いに応えるべく、筧井は事件の真相を独自に調べ始める。

movies.yahoo.co.jp

観た理由

・予告編がおもしろそうだったから。

感想

 阿部サダヲを中心に登場人物がほとんどイカれてるサイコパス・ホラー・サスペンス!!

 白石監督の作品は、『日本で一番悪い奴ら』『孤狼の血』『孤狼の血LEVEL2』の3作品を観たことがあるけれど、いずれもドハマりした。ヤバいやつのヤバく描く、そして単に胸糞が悪いだけどはなくエンタメとしてもおもろい、サイコパスエンタメ監督として勝手に理解している。どうやら『仮面ライダーBLACKSUN』なるリブートも今年やるらしく、仮面ライダー観たことないけど勝手に楽しみにしている。今作もこれまでの作品にもれず、ヤバいやつをヤバく描くサイコパスエンタメ映画であった。

 Fラン大学に通う主人公雅也は、祖母の葬儀に参列するため実家に帰る。どうやら実家は地獄であったようだ。母親は「私は何も決められないから…」とお通夜のビールの追加する本数すら決められず、父親は親戚に「大学で頑張ってるんだって~」と言われる雅也を睨みつける学歴コンプレックス野郎だった。そんななか、実家の住所に自分宛の手紙が届く。その手紙は、24人を殺害したシリアルキラーの榛村大和から「面会に来ないか?」という手紙だった…。という話だった。

 阿部サダヲ演じる榛村大和を中心に、だいたいの登場人物がイカれている映画だった。今作のシリアルキラーである榛村大和は、「目は口ほどに物を言う」という諺を擬人化したような人物である。表の顔はパン屋で言葉巧みに被害者と信頼関係を構築し、そのうえでいたぶって、それこそ絶望を味合わせるのに快感を感じるマジモンの猟奇殺人鬼である。その前提を序盤で刻まれたうえで、面会室で主人公の雅也と面会するシーケンスが多々ある。そこで榛村大和がとばすサイコパスギャグがメチャクチャ面白い(笑) 「君の地元に殺人鬼がいるってことだよ!? …まあお前が言うなって話か…」「僕がいうのも変な話だけど、真犯人の捜査は本当に気を付けてね…」みたいな、普通に相手心配するだけでギャグになるという、なんだか新境地のサイコパスコメディシーケンスがあって、面白かった。

なんかゴールデンカムイの絵柄を思い出したのおれだけか


 そんな榛村大和に対峙する主人公雅也。中学生のころの行きつけのパン屋の店主だった榛村大和に面会し、彼の依頼である「最後の殺人の真犯人探し」を進めていく。大学にも家庭にも居場所がない雅也は(大学のシーンで周りがいつもスローモーションなのはなんかわかるな~という演出だった。周囲にマジで興味がないとあんな感じに錯覚かるので。)、榛村大和の依頼に基づき調査を進めていく。どうみても陰気で主体性のない大学生だった雅也が、弁護士の名前を騙った名刺を印刷し聞き込みをするなど、異常な捜査能力を発揮する。警察か弁士になったほうがいいレベルである。そしてそれを見守り、サイコパス・ギャグを飛ばしながら理想的なメンターとしてコーチングをする殺人鬼・榛村大和。何を見ているのかよくわからなくなってここで少し笑ってしまった。

聴かせてやるよ、論理(ロジック)の律動(リズム)を・・・って感じ

 捜査を進める雅也は、最後の殺人の真犯人は、北村というロン毛男である可能性が高いこと(ガリレオガリレイのボーカルにしか見えなくて、いま聴きながら記事書いている。『さよならフロンティア』が好き)。北村は被害者ともつながりがあるし、よく殺人現場に手を合わせに来ていたらしい。それを聞いてメチャクチャ褒める榛村大和。人を動かすための本とか書いたほうがいいレベル。果たして、この物語の行く末はどうなるのか…、とストーリーに沿って進めてみたが、疲れてきたのでこの辺にしておく。

ガリレオガリレイのボーカルにしか見えない岩田剛典演じる北村


 このあと森林での雅也vs北村のフィジカルサイコパスバトルシーンがあったり、実家での地獄の一家団欒ンがあったり、見どころは尽きない。ごりごりの推理モノとして期待していくと肩透かしを食らうと思うものの、ヤバいやつをヤバく描くサイコパスエンタメ映画としてかなーり楽しめた作品であった。

 ただ、榛村大和の犯罪を描くバイオレンスシーンは、かなり直接的に描かれるのでニガテなひとをだいぶニガテだろうと思うし、自分自身もうげ~という感じだった。もうすこし間接的に描いても本論には影響はなかった気もするので、ここで人を選んでしまう作品になってしまっているので、少し残念に感じる。

 君にジュースを買ってあげる♡オジサンだと思っていた阿部サダヲをこんな恐ろしい存在だと思うことになるとは・・・と思った空母ポンタヌフであった。