映画『シン・ウルトラマン(2022年)』を観た:公開してくれるだけでハナマル!!だが、それでいいのかウルトラマン

ついに観たぜ!!

作品メモ

映画『シン・ウルトラマン』公式サイト

シン・ウルトラマン 2022年5月13日公開 112分 監督:樋口真嗣 配給:東宝

近所のデカ映画館の初日レイトショーで観た

謎の巨大生物「禍威獣(カイジュウ)」が次々に現れ、その存在が日常となった日本。通常兵器が全く通用せず事態が長期化する中、政府は禍威獣対策の専従組織・通称「禍特対(カトクタイ)」を設立する。田村君男(西島秀俊)を班長に、さまざまな分野のスペシャリストから成るメンバーが任務に当たる中、銀色の巨人が突如出現。巨人対策のため、禍特対には分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)と組む。

movies.yahoo.co.jp

観た理由

ウルトラマンが好きだから。

感想

ウルトラマンシリーズと空母ポンタヌフ

 ウルトラマンシリーズは、幼いころのバイブルであった。自分が創作物の面白さに触れた原体験だといえる。物心がつくまえに『ティガ』『ダイナ』を観ていたらしく、フリーマーケットウルトラ怪獣ウルトラマンのソフビをひたすらに買いあさっていた。フリーマーケットといえば、いまはフリーマーケットは存在しているのだろうか? メルカリやヤフオクの台頭に加え、コロナ禍による清潔意識の高まりと機会損失で、もはやあの空間は絶滅したのでは… と思ったが、まだやっているようだ。今度どこかのフリーマーケットに行ってみたい。そんなことはさておき、ソフビからウルトラマンの世界に足を踏み入れたポンタヌフ少年は、昭和時代のウルトラ怪獣大図鑑などの書籍を読み漁り、『ウルトラマンガイア』をしっかり作品として見届け、空想科学好きの特撮爆発怪物好きの少年に進化したわけである。それから大きくなるにつれ、近所のGEOで『ウルトラQ』『ウルトラマン』を借りてイッキ見をしていた。その後、ポンタヌフ少年は中学生になり、特撮よりもゲームが好きのメインになっていった…。

 というわけで、ウルトラマンシリーズは自分自身の趣味趣向の方向性を決定付けた作品である。ある種、この現実と地続きの世界で、ウルトラマンは正義のヒーローとしてあるべき姿を人類に示し、導いていく。人類は人類で諸手を挙げてウルトラマンに迎合するのではなく、自分たちの力で未来を切り拓こうとする。我々に与え与えられるヒーロー像としてのウルトラマンを見て育ったポンタヌフ少年は、そして大人になった。社会に出て働き始めてくたびれたポンタヌフ青年は、『シン・ウルトラン』の特報にココロオドルアンコール沸かすDANCEDANCEDANCE!なわけだ。

 その後、コロナ禍による社会的閉塞感もあり体感時間としてはメチャクチャ長い公開までの期間を経て、あの日のポンタヌフ少年は結婚したりしてポンタヌフ壮年に片足を突っ込みつつあるものの、ついに『シン・ウルトラン』の公開日を迎えたわけだ。そんな全身全霊の期待を背負い、劇場に向かったので、作品の感想を書いていく。

 

あの日あの時あの場所のウルトラマンがそこに!!

 あの日あの時あの場所で見ていたウルトラマンがそこに!! というのが一言感想である。テレビシリーズで見ていたものが、この2022年に劇場の大画面で観れるなんて・・・それだけで感無量である。あの日のポンタヌフ少年は手を握り歯をくいしばり前のめりになりながらスクリーンに齧りついていた。あのマーブル調でぐるぐるまわるウルトラQのオマージュ、そしてウルトラQのデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレェーンデレェーンというあのBGMからのかの怪獣たち!!そして開始10分もしないうちにネロンガ!!ウルトラマン降着!!なんだこれは!!!そしてめくるめく怪獣やら外星人!!現代の東京で戦うウルトラマン!!ん?!!マルチバース?!なるほど別次元からウルトラマンは出てくるのか!!手が出てくるのカッケー!!!!ぞーフィ!?ゼットンでけーーあっもう終わるの?? という感じの112分であった。

 あの日あの時あの場所でウルトラマンと巡り会えてよかったし、いまこのときこの場所でシンウルトランを観れてよかった。センキュー。という、ウルトラマンの原体験が自分の根底にありすぎてまともな評価ができません・・・。公開されただけでハナマルをあげよう。

とは言うものの、それでいいのか、ウルトラマン

 とは言うものの、「これダイジェスト版では??」と思ったのも事実である。テンポよくサクサク進んでいく物語や情報量の多いセリフや画面が多い。また、カメラワークもぐんぐん切り替わっていくため、それがスピード感を助長する。禍特対の面々のパーソナリティや関係性、あるいは行政側の対応のようすなど、余裕がないというか詰め込まれた感がある。そのせいか、ラストの「そんなに人間が好きになったのかウルトラマン」に説得力が少し薄くて脳内補完が必要だった。怒涛の情報インプットと怒涛の脳内補完で、見終わったあとは少し脳が疲れてしまいたました・・・。

 ダイジェストゆえか、魅せ場魅せ場は素晴らしいものの、作品全体としての大クライマックスがない。最後のゼットンも誰もいない遥か彼方でウルトラマンが光線撃って10秒位で敗北をしたが、その敗北もなんか絶望感にかける。ウルトラマン不在のなか人類の叡智で解決をする方法も、インプットはウルトラマン頼みでアウトプットもウルトラマン頼み、人類が解決策をどうにかこうにかするところもビジュアル的に燃えなかった。性急に話を畳みにいった感が拭えなかった。使徒ゼットンはかっこよかった。昔のウルトラ怪獣のヴィジュアルは完成されている。

 ダイジェスト版っぽくなっているがゆえ、あのときのテレビシリーズの活劇感が増幅されたのも事実である。ただそれが刺さるのは往年のファンであって、映画作品としてはどうなのかな〜と思うところがあった。

さらに、とはいえ、

 現代のこの世界に怪獣や宇宙人などのウルトラマンが降り立つとどうなるか?という取り組みは、空想科学作品としてヒジョーに面白いものだった。VFXも多少あらが目立つところもあるが、外連味(人生で一度は使ってみたかった言葉である、初めて発した言葉だ・・・意味はなんとなくしかわからない)があって味わいがある。面白いので映画ではなく、ドラマとしてやってほしい。NetflixなりAmazonなりAppleなりの巨大資本と組んだ潤沢な資金に支えられたシンウルトラQを期待したい。

 この令和の世の中でかつてのノスタルジアに浸ることができて大満足のポンタヌフ壮年であった。ちなみに全く予備知識のない妻は「あんまよくわからないけど、ファンは嬉しいんだろうねぇ〜」と言っていたので、それがこの映画を言い表している気がする。

補足:好きなシーン

・大好きな怪獣のペギラ出現!!東京氷河期!!

・科特隊出動!!のBGM!!!

ウルトラマンの高速回転シーンとその効果音が聞けて最高。ガボラへの高速回転キックのアイデアもすごい。

・ザラブ扮するにせウルトラマンへのチョップで痛がるウルトラマン!!

ゼットンの火の玉は1兆度!!星だけじゃなく太陽系も吹っ飛ぶ柳田理科雄空想科学読本ネタやんけ!!!ウオオオ!!