スゲえインド映画を観た、エネルギッシュすぎる『RRR』

 


作品メモ

『RRR』 2022年10月21日公開 179分 S・S・ラージャマウリ監督

知らない街の知らない映画館で観た

『バーフバリ』シリーズなどのS・S・ラージャマウリ監督によるアクション。イギリス植民地時代のインドを舞台に、イギリス軍に捕らえられた少女を救う使命を帯びた男と、イギリスの警察官が育む友情と闘いを描く。互いの事情を知らないまま親友となる男たちを、『バードシャー テルグの皇帝』などのN・T・ラーマ・ラオ・Jrとラージャマウリ監督作『マガディーラ 勇者転生』などのラーム・チャランが演じる。

movies.yahoo.co.jp

観た理由

インド映画を観たことが無かったから。

感想

な、なんだコレは!?!? 

 スクリーンから溢れ出るパワーがスゴいシークエンスの数々!! アクションシーンだけかと思いきや、人種を超えた恋愛模様や友情と使命に引き裂かれる男や故郷との約束やパワフルなダンスシーンなど、感情が激しく揺れ動いた3時間であった。『アベンジャーズ:エンドゲーム』よりも集中して観れたかも。トイレ行くことを覚悟して、ポップコーン大・ナチョスをバカ食いしつつコーラで流し込みながら観たのに、尿意や便意が吹き飛ぶほどの面白さだった。

 私自身のインドとの繋がりはほぼ無い。世界史の勉強でインドの歴史にかるーく触れたことと、オンライン英会話のNeed for Speed好きなインド人講師にレクチャーを乞うたことくらいである。ちなみに-thとか-sの発音が悪くてキレられた記憶がある。ともかく、インドカレーを食べることを含めなければ、インドカルチャーに触れるのはこれが人生で初めてである。インド映画は楽しく踊っているだけだろ?という偏見を持っていてゴメンナサイ…。

 イギリスに誘拐された女の子を取り返す森に住む部族の男と、イギリスに使える警察官の男の2人が手を取り合うところから物語ははじまる。物語がはじまるまでに1時間近く掛かって笑った。この2人は友情を育んでいくが、その実、2人の立場は相いれないもので……という友情を取るか?使命を取るか?という切ない物語である。この友情シーンがなんとも言えず、肩車しながらスクワットしてるシーンとかメチャクチャ面白かった。本当に兄弟のような関係を築いていく2人だが、2人の立場がそれを許さない…というオハナシ。

ブン投げられる少年が可哀そう

 上記が基本的なストーリーラインだが、ところどころでスーパーアクションシーンが挟み込まれるので飽きない。オオカミとトラとの肉弾戦のシーンや、1人対1万人のバトルシーンや、ボディランゲージでよくあそこまでの連携ができた救出シーンや、野生動物とのカチコミシーンなど、文字にするとバカみたい見えるが映像で見ると血沸き肉躍るシーンの数々が物語を彩っていく。

 友情vs使命の物語はたいてい使命を取って相手を殺すか手を取り合って第三者に抗うかという結末で終わるんだけれでも、この『RRR』はそんなオチでは終わらない、「ここで終わるだろ」と思ったら「まだまだ続くぜ!!」が何度もある、メチャクチャ面白い物語なのである。

となりのマダムが噴き出していたシーン

 つまるところ、友情vs使命という普遍的な物語を、インド特有のエネルギッシュさとポジティブさを象徴した迫力ある映像で彩りつつ、インドでしかできないカタルシスで締める物凄い映画であった。そして当然、超絶すごいダンスあるぜ!!

キレッキレすぎて手足がブレてるの笑う

 そして「インド映画は楽しく踊るだけだろ?」とかいう偏見を持っていてゴメンナサイをしたのは、ちゃんとストーリー上に意味があって踊っていたからだ。いずれもインドカルチャーを表現するためのダンスであり、不当な支配に抵抗するためのダンスであったからだ。そもそも根底にある映画のストーリー自体も、苛烈な植民地支配の時代であり、よくよく考えると支配と圧政に抗う物語である。そういった意味でインドのワンピースと言っても過言ではない。ただそれを包み隠すようなエネルギーと陽の雰囲気が溢れ出るエンタメ映画であった。

 この映画のサントラを目覚ましアラームにすれば仕事も楽しく行けると思ったポンタヌフであった。