セカンドチャンスは与えられるべきか?『Marvel's スパイダーマン2』

※11月初めに書いた記事が下書きフォルダにあったので供養します。

 

プレイ時間:30時間くらい(トロコンまで)

 

 『Marvel's スパイダーマン2』をクリアしたので感想を書いていく。なお、諸般の事情によりなくなく英語音声・英語字幕でプレイしたので見落としがあるかも。

 

密度濃すぎ!!!!

 一言でいうなら、「密度濃すぎ!!!!」という軽薄な感想になってしまう。オープンワールド全盛期のこの時代には、マップが入り組んだだけでは「密度濃すぎ!!!!」といあう乾燥にならない。1つ1つのミッションのアクションや魅せ場が多く、時間に対するアクションの密度が高いのだ。決して30時間というとここ最近だと決して長い時間に思えないのだが、30時間とは思えないボリュームを感じることができる。

 「密度の濃さ」を感じる理由には2つあると感じた。1つはプレイアビリティの問題である。過去作はガジェット類をホイールで選択する方式であったため、切り替え時に戦闘が一時中断してしまっていた。今作ではR1/L1+△〇×□キーでさまざまなガジェットやアビリティを発動することができ、さらにパリィも追加された。そのため、戦闘がノンストップかつ簡単に敵を蹴散らすことができる。そのため、(敵AIがバカすぎてマジめにやるのが馬鹿らしくなる)ステルスシーケンスも戦闘でゴリ押しをすることもできるのだ。今作のステルスシーケンスは、なんとも言い難い悲しさを感じた…。視界に確実にスパイダーマンが天井にウェブを張り巡らしているのが見えるはずなのに、何もしないAI…。後半のシンビオート編からはそのようなシーンが消えてよかったです。

 2つめは、スーパーヴィランの豪華さである。今作のメインヴィランは、クレイブン・ザ・ハンターとヴェノムであるが、彼ら以外にも沢山のキャラクターが登場するため、「ちゃんとアメコミのゲームをしてるんだな~」という気持ちになれる。

God of Warか?と見まがうサンドマン

 ザコ敵を使っておけばいいのに、巨大サンドマンが出てくるという超豪華な序盤のチュートリアルから幕を開けるこの作品。巨大サンドマンと広大なマップを縦横無尽にかけるこの戦闘をもって、PS5のマシンパワーを見せつてくるスバシライ導入であった。やっぱりゲームって序盤のチュートリアルは退屈になりがちだけど、ここまで飛ばしているのはスゴイ!!

さようならスコーピオ

 そしてクレイブン・ザ・ハンターが、ニューヨーク中の超人を相手に“狩り”を始めることで物語は動き始める。そしてスコーピオンことマック・ガーガンは、クレイブンのかませとして散る…。スコーピオン、カメオ以外映像化もされていないので、不憫さを感じてしまった…。

 そして最初はサブプロットとして絡んでくるシンビオート…。中盤までは恐ろしいほどストーリーに関わってこないので???となっていたものの、上記のようにシンビオートスーツのスパイダーマンもボスとして登場する。これぞ主人公が2人いるシステムを活かした設定!! いやこれがしたくてこうしたんだろう!! ととても楽しい戦闘を楽しめる。

ストーリー随一のNTR展開…これだけで映画とれそう

 そしていよいよ登場するヴェノム……。映画作品では愛くるしいペットに成り下がってしまったが、今作では地球を滅ぼすほどの悪の活躍をみせ、まさに悪魔と呼ぶべき活躍をみせる。そしてまさかのヴェノムのプレイアブルシーンも!!! 「Marvel's ヴェノム」と「Marvel's メリージェーンワトソン」もぜひ開発してほしいです。ヘイリー編は不要です。ライフイズストレンジみたいでちょっとだけ面白かったけど。

ヴェノムのプレイアブルシーンは、なかなか面白かった

「セカンドチャンス」

 わけあって英語音声・英語字幕でプレイすることになったわけなのでストーリーは大枠でしか把握していないが、今作品に通底するのが「セカンドチャンス」というキーワードである。サイドミッションではメンタルをやられたサンドマンをリハビリするものもあれば、次世代エンターテイナーとなったミステリオことクエンティン・ベックも出てくれば、自動車整備士として働くトゥームストーン、そしてオズコープで働くリザード…。かつてスーパーヴィランとして悪行を尽くしたわけであるが、人生やり直せるんだというメッセージはなかなかに興味深いものだった。まあ日本では人生1回ミスるとやり直しがなかなか効かないからな。生活保護受けるハードルが高い国はなかなかないし、今はSNSのせいでかなり厳しい日本社会に思いを馳せた。

ブラックキャットもその文脈で語られていたが、これは窃盗だからアウトな気もするんだけど・・・

 ただし現実は甘くなく、そう簡単にセカンドチャンスはつかめるものではない。現実のアレコレはさておき、今作ではそのハードルとして描かれるのはクレイブン・ザ・ハンターである。超人たちをハントしまくるというストーリーラインのおかけで、かつてのスーパーヴィランが毒牙にかかっていく・・・という物語である。

 最終的にはこのセカンドチャンスというキーワードをもとに、マイルズは父親の仇敵であるミスターネガティブに復讐心以外の感情を向けることができ、そのおかげでピーターをシンビオートから救うことができる。それは結果として、自分自身を許すことができなかったビーターにセカンドチャンスを与えることに繋がるのである。

 というように、セカンドチャンスというキーワードでメインストーリーとサブストーリーが繋がっていくので、なかなかプロット的にも楽しめた。ただしマイルズの高校のミッションてめーはだめだ。

 

ということで

 映像表現と優れたプロットのおかげで、なかなかに楽しめた作品であった。ただ、戦闘面はプレイアビリティが改善されたものの、ちょっと飽きがくるのも事実ではある。基本的にメインミッションもサブミッションもザコ敵との戦闘が多いので、まあ飽きてくるよね。おそらくこのふんだんに散りばめられた伏線の数々をみると次回作も確実作られるので、戦闘面でのブラッシュアップを期待したい。

 次回作の主人公は、きっとマイルズ・モラレスとシンディ・ムーンのバディものであり、メインヴィランはグリーンゴブリン。そしてカメレオンとかドックオクとかカーネイジが出てくるんだろう。あとはモービウスをプレイアブルキャラクターにして供養してください・・・。あとは、今回のサブミッションをみると、スパイダーバースとのクロスオーバーもゲームで期待してもいいかもしれない。

 次回作がアメコミファンとしてもゲーマーとしても楽しみ!!