映画「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)2021(2022)」を観た:大長編ドラえもんの極致!決して子供向けだけではない

 コロナに感染したあと、後遺症の咳が続いていたから「もう劇場は行けないかな~」と思っていた。ところが、藁にも縋る思いで呼吸器内科にいったところ、ここで処方された漢方薬バツグンに効いてきたため、劇場視聴の再開である。

 とはいえ、肺機能検査をしたところ、20代なのに高齢者並みの肺機能まで低下していた…。コロナ遅るべし。ということでマスクするとやや呼吸が苦しいものの、映画館で咳の心配なく映画を楽しんできたので感想を書いていく。

 

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作品メモ

映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)2021 2022年3月4日公開 107分 東宝

近所のデカ映画館で昼すぎの子どもたちが多い上映会で観た

夏休みのある日、のび太は小さなロケットを拾う。その中から手のひらサイズの宇宙人パピが現われ、彼は自分がピリカ星の大統領で反乱軍から逃れるために地球にやってきたと話す。ドラえもんひみつ道具スモールライトで小さくなり、パピと一緒に過ごすうちに友情を育んでいくのび太たち。そんな中、反乱軍のクジラ型宇宙戦艦が地球に出現し、パピを捕らえようとする。大切な友だちであるパピと彼の星を守ろうと、のび太たちはピリカ星に向かう。

movies.yahoo.co.jp

観た理由

大長編ドラえもんのなかで好きな作品の1つだったから。

 

感想

20年ぶりに観たドラえもん映画だが、あの頃と同じく面白かった!

 詳しくは覚えていないものの、小学生のときから劇場版ドラえもんは観ていたし、大長編ドラえもんのコミックスも買って読んでいた。あらすじはなんとなーくでしか覚えていないものの、「宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)」は好きな大長編の一部だという記憶は残っていた。10歳前後のころに自分に響いた作品は、20年近くたった今でもしっかりと響いた。

 「宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)」というタイトルのとおり、兵器による爆発のシーンや戦闘機のドッグファイトのシーンが多くある。今回のリメイク版の作画・音響ともに素晴らしく、迫力がすさまじく、劇場で観たかいがあった。大長編コミックスの藤子・F・不二雄によるルビを思い出すと大きな音がするのはフクザツな気持ちになったけれど(笑)。藤子・F・不二雄ドラえもんのテーマを「すこしふしぎ」略してSFといったが、本作はちゃんとサイエンスフィクションしていると思った。 

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ボロボロの大長編ドラえもんより。この描写をみて宇宙図鑑を買った気がする。

 また、久々にドラえもん映画を観た身からすると、子どものころから観ていたドラえもんから変わっていないことも安心した。最後に劇場版アニメを観たのは2000年代ごろだが、そのころからお約束は変わっていない。冒頭でのび太のドラえも~~~んのジャイアンが良いやつになるとか出木杉くんが冒険からハブられるとか細かいお約束もそうだし、勇気と優しさをもって苦難を乗り越えていくというシーンは相変わらず胸が熱くなった。子どもがたくさん映画館にいるのをながめると、これらの作品が今の子どもにも楽しまれているのが嬉しい、と感じた。

 お約束のドラえもん映画として安心して観れるし、かつしっかりしたSFアニメとして劇場で観るのにふさわしい作品である。

 

大長編ドラえもんが描いてきたもの

 これまで好きだった大長編ドラえもんを思い出してみる。本作以外に挙げると、「日本誕生」「アニマルプラネット」「鉄人兵団」「銀河超特急」などになるか。よくよく考えると、どの作品も、またここに挙げた作品以外も、専制的支配との争いを描いている。どの作品も基本的なストーリーラインとして、のび太を象徴とした優しさと思いやりと勇気をもって、専制的支配と戦っていく物語である。

 1980年代から大長編ドラえもんは始まったが、40年経ったいまでも描いているメッセージは変わっていない。裏を返せば、それは40年経ったいまでも訴えなければいけないメッセージということである。

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冒頭のシーンだがドラえもんか!?となった

 このタイミングでこの映画観た場合、誰しもが「ロシアによるウクライナ侵攻」と重ね合わせずにはいられない。この映画は、遠い宇宙の惑星で、いちどはクーデタによって転覆された政府だが、第三勢力であるドラえもんたちの介入をもって、逃げのびた大統領を中心にレジスタンスと民衆が政権を奪還するという物語である。大統領による演説や、民衆によるデモのシーン、専制的指導者が疑心暗鬼になっているシーンなど、「果たしてこれは子供向けアニメなのか?」と思わずにはいられない描写が多い。先ほど述べた、専制的支配との争いを描く大長編ドラえもんの極致であると考える。

 映画オリジナルのシーンで大統領が宇宙船で言っていた「それぞれができることをやるんだ」という言葉と、映画でも原作にもある以下のセリフをかみしめているポンタヌフであった。このドラえもんを観た子どもがいろいろなことを考えるきっかけになればよいと思った。

 

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