『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』が激アツ胸アツだった

 『コワすぎ!』シリーズの最新作にして完結作である『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』が今年ベスト級に面白かった。そもそも『コワすぎ!』シリーズに出会ったのはAmazonPrimeで一挙に配信が始まったこの8月であり、その面白さは230日近く更新していなかったブログ記事を更新させるほどであった。

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 そんな『コワすぎ!』シリーズが8年のときを超えて劇場で公開される、ということで朝イチの回でウキウキルンルンで普段は行かない劇場まで徒歩1時間まで散歩して向かったのである。8年前とは打って変わってSNS全盛期のこの現在、投稿映像文化はすっかり廃れてしまったが、どんな作品に仕上がっているのか!?!

 

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!」アザービジュアル - 「コワすぎ ...

 

ノロイ」「オカルト」「貞子vs伽椰子」などで知られるホラー界の鬼才・白石晃士監督がPOV形式で描くフェイクドキュメンタリー「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズの8年ぶりの続編となる長編映画

呪われた廃墟で撮影された投稿映像。そこには、不気味な祭壇と全身血まみれの赤い女、そして謎の赤ん坊の泣き声が収められていた。粗暴なプロデューサー・工藤とディレクターの市川、カメラマンの田代による「コワすぎ!」チームは、怪異を解き明かすべく取材に乗り出すが……。

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 シリーズの集大成といっても過言ではない大・傑・作!! という感想である。ファン歴1か月未満の当方ですら感動をしたので、リアルタイムでシリーズを観ていたひとの感動はひとしおだろう。

 これまでのシリーズで観てきた表現やストーリーテリングがパワーアップし、再構築されている。追いかけてくる怪異から逃げるPoV、うさんくさい霊能力やオカルト研究物、そして決して映像的なクオリティは高くないもののゾッとさせてくる演出の数々・・・。映画を観ている途中が過去作のあのシーンやこのシーンが思い浮かんで楽しかった。そしてこの逆もしかりで、これを機にシリーズに入門しておさらいしていくのも楽しいと思う。シリーズで観たあのシーンこのシーンがデカい劇場で観れるだけでも観賞価値はある。

 そして令和のこの時代に公開するにあたって重要なのが、この作品に込められたテーマだ。過去シリーズでは工藤がパワハラ・セクハラの邪知暴虐の限りを尽くしていたわけであるが(いやはや現実のそれはこんな甘いものではないことは公知のとおりではある)、今作品ではその“落とし前”をつける物語と言っても過言ではない。オープニングの投稿映像が終わったシーンから、プロデューサーになった工藤がまたハラスメントするのでは・・・と思ったものの、ディレクターになった市川から反撃をくらう。眼底骨折をさせられたというエピソードまで飛び出してきて草が生える。とはいえこれまでのシリーズでの邪知暴虐っぷりと向き合うというシナリオは、なかなか良いものだ。予告でも聞ける「何度でもブッ殺してやるよォ~!!」というセリフがとてもよく響いた。

 また、令和に生きる少年少女に対して、「過去は振り返らず希望と未来を向いてあるんて行くんだ」というストレートなメッセージが胸に響く。ここまでこのシリーズで感動したの初めてかも。

 

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 シリーズお約束の胡散臭い けれど活躍してくれる霊媒師や、なんともいえないCGエフェクトもしっかり出てきてGood。霊能者の師匠である珠緒師匠役の桑名里瑛はこれまでの蛇女やコックリさん編にも出ていたとは!?!? とてもビックリである。これはこれで作品が作れるほどの魅力的なキャラクターになっている。

 というほめの言葉を並べたわけだが、ここまで書いたことをまとめると、これまでの作品でやってきたことの焼き直し、ともいえる。まあシリーズのどこかで観たことのあるような演出や設定が出てくるのは確かなので、それを集大成的ととらえるか限界ととらえるかという違いだと思う。さくっと観れて、こわがれて、楽しめるという意味では、とてもよい映画だったことは確かだ。

 この映画にどんな意見を持つにせよ、エンドロールでは笑顔になること間違いなし!