ゲーマーとして感動した伝記映画!?『グランツーリスモ』

映画「グランツーリスモ」,公開日を9月15日に決定。日本版本 ... 

 

 『ザ・スーパーマリオ・ブラザーズムービー』が公開され、空前のヒット作に!!! さすが任天堂すごいぜ任天堂!!破竹の勢いは止まらない!! と任天堂に拍手喝采が贈られていた2023年。ゲーム業界ならず映画業界でも話題をかっさらっていくのか? と思われるなか、ゲーム業界における任ライバルで映画業界のメインプレーヤーでもあるソニーは黙っていなかった!! これは総合エンターテインメント企業として感動体験を生み出すソニーによる猛烈なるカウンターとしての映画である! 

 と、とても持ち上げてみたのだが、これが面白いエンタメ作品として仕上がっている。そして普通の映画として感動できるのはもちろん、ゲーマーとしての経験のある諸氏の琴線にも触れることは間違いない。

世界的人気を誇る日本発のゲーム「グランツーリスモ」から生まれた実話をハリウッドで映画化したレーシングアクション。

ドライビングゲーム「グランツーリスモ」に熱中する青年ヤン・マーデンボローは、同ゲームのトッププレイヤーたちを本物のプロレーサーとして育成するため競いあわせて選抜するプログラム「GTアカデミー」の存在を知る。そこには、プレイヤーの才能と可能性を信じてアカデミーを発足した男ダニーと、ゲーマーが活躍できるような甘い世界ではないと考えながらも指導を引き受けた元レーサーのジャック、そして世界中から集められたトッププレイヤーたちがいた。想像を絶するトレーニングや数々のアクシデントを乗り越え、ついにデビュー戦を迎える彼らだったが……。

eiga.com

 

 一言で言うと、「少年マンガ」的なストーリーな映画である。くすぶっていた主人公がレーサーの夢への切符をつかむ「オリジン」から始まり、「ヨーロッパ予選編」「GTアカデミー編」「FIAライセンス編」「プロドライバー編」、そしてトラウマを乗り越えた先にある大人気エピソードの「24時間耐久レース編」。全20巻くらいの少年マンガのハリウッド実写作品と言われても疑わないくらい「少年マンガ」的な映画だった。さくさくテンポよく進み、なにかダイジェスト版というか総集編を観ているような感覚にもなる。こんなドラマチックな伝記映画が存在するのか!? という感じである。

 だがしかし、裏を返せば王道ストーリーであるため、ある程度先の展開は読めてしまう。そこは映画館の音響設備で響き渡るエンジン音と映画としての画作りにより、観ていると面白い気持ちにはなるのでなんとかなる。あとはダイジェスト感はぬぐえない。GTアカデミーの同級生やライバルレーサーのレーサーとしての矜持は描き足りないような気はどうしてもする。面白いがゆえの物足りなさを感じてしまうというか、悪く言えば深みを感じないというか…。まあ、そのような気持ちになるがマイナスポイント。

 あとは、ゲーム会社でもあるソニーが作った映画ということで、ゲームに対するリスペクトを感じるのがとても良い点。まず、オープニングからゲームである『グランツーリスモ』製作から入っていく。プロデューサーの山内一典をはじめ、ゲームクリエイターたちのプロフェッショナリズムに触れる。「ゲームでなくレーシングシミュレーターである」という説明があってこそ、この実話をもとにしたという物語の重みがとても増えるわけである。このゲームづくりの執念がなければこの感動は生まれなかったというね。またエンディングにもこのシーンが流れていくのはとても良いと思う。ゲームも趣味としての市民権を得てきた今だからこそ、ゲームのすばらしさをソニーには訴求していってほしいと思う。

 また、ゲームっぽいサウンドエフェクトやUI(映画なのに!?)がにやりポイントである。また、最後のシーンでのサブリミナル効果みたいにゲームで入賞したときのカットインが入った気がして、幼稚園児から父親のファミコンをやってたから根っからのゲーマーしてぐっときたポンタヌフであった。