コロナ自宅療養期間が明けたものの、見るからに体力が落ちて日々の仕事で体力を消耗してしまい眠くて仕方ない。ようやく体力が正常に戻ってきた。とはいえ、まだ後遺症なのか咳が出てしまうのて、劇場には行けない始末。
「よし!こんなときはおうちで元気の出る映画を観るぞ!」と意気込み、「悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ」を観たので感想を書いていく。
作品メモ
悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ 2022年2月18日配信 83分 Netflix
リビングのデカテレビで遅れてコロナ感染した妻を起こすほどの大音量で日曜の朝から観た
テキサスのゴーストタウンを再生しようとする若者たち。一皮のマスクをつけた殺人鬼、レザーフェイスが町に潜むとも知らずに…。血の惨劇が、再び幕を開ける。
観た理由
・シリーズをいつか観たいと思っていたから。
・冒頭に書いたとおり、コロナリハビリとおうちでみれるスカッとする映画を観たかったから。
感想
これぞザ・スプラッター!すべての道は殺人に通ず
これぞザ・スプラッター!!という映画であった。映画への造形が浅い身ながら、「これがスプラッター映画か~」と溜飲が下がるほど、いたる場面で血がほとばしる。序盤の展開ほどほどに、開始30分から殺戮スタート!! あまりに極端な身の振り方に、観たあとはどこかすっきり悪いものができったような気分であった。観たあと、残っていたコロナウイルスの残党は身体から消えていった気がする。
描写もなかなか演出が凝っている。殺戮描写は、密室シーンと開放空間シーンの繰り返しである。息が詰まるような家の中での追いかけっこのシーンから、パーティ会場での大殺戮シーンまで。お手本のような緊張と緩和が繰り返されて、観ていてキモチいい。
レザーフェイスの攻撃手段も、小ワザが効いておりなかなか良かった。床上からのチェーンソー追撃や、逃げる相手へのローリングチェーンソーアタックなど、なかなか一筋縄ではいかない殺人鬼であった。パーティ会場でもお気に入りの描写はあるが、文章にしたためたところ、なかなかエゲつなかったのでここでは割愛する。
スプラッター映画として、無駄なくコンパクトに観たいものを観せてくれた良い映画である。
過去の暴力の象徴としてのレザーフェイス
この映画には1作目に出てきた(これまでの作品を観たことがないので“らしい”)、唯一の生き残りであるサリーが登場する。ショットガンでレザーフェイスを退散させていざ逃げようとする主人公に対して、「逃げちゃダメ。とどめを刺しなさい。逃げたらその影に一生追いかけられる」という鬼畜なことを言っていた。さすが1作目の生き残りである。
とはいえ、当方の大学入試以降枯れる一方である英語力を駆使したところ、このセリフでサリーはhauntという単語を使っていた(気がする)。hauntとは、「〔心の中に悪い記憶や予感などが〕絶えず思い浮かぶ、立ち現れる」という意味であるからして、サリーは唯一生き残ったもののレザーフェイスの影に追われて生きてきたことが伺える。
サリーの鬼畜的な励ましにより、レザーフェイスに立ち向かう主人公。銃乱射事件の生き残りである過去がある主人公が、過去のトラウマを克服し立ち向かっていく姿は、普通に感動してしまった。人には程度の差はあれ、hauntしてしまう記憶は存在する。あの日やらずにした後悔だったり、間違えてしまった言葉だったり、「なんであんなことしたんだろう」という自責だったり…。この主人公が立ち向かうシーンを観て、進撃の巨人のリヴァイ兵長が頭に浮かび、悔いがないように生きていきたいと思った。
つまるところ、この映画は過去のトラウマや後悔に立ち向かっていくお話とも観ることができ、活力を得ることができた。最後のシーンで自信にあふれる主人公の姿も非常に印象的だ。
そのうえで、オチのシーンは最高だった。ホラー映画としての矜持を感じた。我々の日常には暴力や後悔という名の理不尽が潜んでいるということを鮮烈に感じたオチであった。