映画「私ときどきレッサーパンダ(2022)」を観た:誰もが経験のある期待やステレオタイプの押し付けに抗うハートフルな物語

 私ときどきレッサーパンダを観たので感想を書いていく。

 

TURNING RED-私ときどきレッサーパンダ【オンラインで見ます 2022 完全版】 - Visual Studio Marketplace

 

作品メモ

私ときどきレッサーパンダ 2022年3月11日配信 100分 Disney+

家で家事しながら観た

伝統を重んじる家庭に生まれ、両親を敬い、親の期待に応えようと頑張るティーンエイジャーの少女メイ。母親の前ではいつもマジメで頑張り屋でいる彼女だったが、本当は流行りの音楽やアイドルも大好きで、恋をしたり、友達とハメをはずして遊んだり、やりたいこともたくさんある。母親の前で本当の自分を隠す日々を送るメイは、本当の自分がわからなくなり、感情をコントロールすることができなくなってしまう。悩んだまま眠りについた彼女は、翌朝目を覚ますと、なんとレッサーパンダになっていた。突然のことに驚くメイ。しかし、その変身の裏にはある秘密があった。

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観た理由

レッサーパンダ可愛かったから。

ピクサーの新作が配信限定ということで、観やすかったから。

感想

 ピクサーのアニメーションってすげえ!!! と感動した。ピクサー作品を観るのはいつぶりが改めて確認したところ、16年前に公開された2006年の「カーズ」以来であった。レッサーパンダの毛並みの表現がすごい。次世代機ゲームでも多少粗は目立ってしまうに、動き回るキャラクターで緻密な描写を実現するアニメーション技術の進歩に感動した。ジェネレーションギャップというか、時代に取り残された男のファーストインプレッションはこんなところにしておく。

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かわいいしモフモフしてる。ただ作中によればちょっと臭いらしい

 ストーリーは、親からの理想像に自分を合わせるため、自分自身が本当にやりたいことを抑圧する13歳の少女が主人公のお話である。同じアイドルを推す友達とカラオケにもいきたいしライブにも行きたいし恋もしたいけれど、親からは優等生である自分が期待されているため本当の姿は出すことができずにいた。とある出来事で、自分を抑圧することと親への不満が限界を感じた翌朝、主人公はレッサーパンダになってしまった!! というお話である。

 軽妙なかたちでストーリーは進んでいくので気持ちよく見れるし、しっかりと映像としても迫力のある見せ場もあり、100分でさくっと楽しめるエンタメムービーだと感じた。誰かから期待される自分と本当の自分のギャップに悩むことは、家庭であれ会社であれ学校であれネットであれ起こりうることなので、テーマとしてもみんなが共感できるものだと考える。

 これを観ていろいろ思い出した場面はある。小学生のとき、血液型占いがいっときブームになったことである。ぼくはA型だったが、「几帳面でマジメで整理整頓が好き」であるべきはずの血液型であるのに机の中やランドセルのなかが汚かった。自分は本当にA型なのだろうか? 僕は本当はA型でないのでは? 両親は二人ともA型なのに…ということは…? というチープなアイデンティティークライシスを起こしかけ、いろいろ調べた結果、メンデルの法則に詳しくなり高校生物のセンターテストの遺伝の範囲は満点だった。

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バレたくないものがバレたときの描写。。。めちゃわかる。。。

 また、社会人になったときは営業職に配属されたわけだが、「営業であれば明るくおしゃべり好きで飲み会好きでしょ!!」みたいなステレオタイプで見られるのを感じた。知らないひとはなるべく話したくないし、できることなら家の中で自分の好きなことをしたいし、飲み会は終わった後失った金と時間を数えて空しくなる場だと思っていたが、努めて明るめに過ごしていた。途中でしんどくなってきて仕事も身についてきたので、給与をもらっている勤務時間中は努めて明るく務めるも勤務終了後はいろいろ断て家に帰るようにしたところで、パンデミックによって飲み会文化は瀕死となった。

 作品の前半の描写は教育虐待やモラハラに近いような気がするが、そのテーマを扱うにはあまりにも軽妙な語り口なので期待やステレオタイプ押し付けにあらがうお話だと理解をした。最後のアベンジャーズアッセンブル的なシーンは観てて興奮した。

 この映画を観たあとは、以下の曲を思い出して聴いてた。ひさびさに聴いたけど、いい曲だった。欅坂を辞めたあとの平手のソロ曲を聴いたけどバキバキに踊ってて楽しそうで良かったと思った。

 

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