Netflixで「トーク・サバイバー!」を観たので感想を書く。ドラマ×バラエティという新しい発明にドはまりした
バラエティ番組の趨勢は、ここ数年で大きく変わった気がする。ぼくが子どものころは、テレビが主流だった。その頃の人気番組を思い返してみると、エンタの神様や笑いの金メダル、イロモネアなど、いろいろな芸人がネタを披露する番組が多かったように考える。いまはお笑いのネタを披露するよりも、アメトークや水曜日のダウンタウンなど、決まった型のなかで芸人が活躍する番組が人気な気がする。単に、年齢を重ねただけか? さらに、2年くらい前から芸人を含む芸能人がYoutubeに進出をした。自分が好きな芸人のチャンネルを直接観るというスタイル。芸人もやりたいことができ、ファンも自分の好きな芸人を観れるWin-Winスタイルか確立した。
そんななかで、本作のような、ストリーミングサービスにおけるオリジナルお笑い番組が提供できる付加価値は何なのか考える。それは、尺の長さである。テレビやYoutubeでは、視聴率や再生回数を考えて、ハイライトシーンを編集して流している。ストリーミングサービスでは尺を気にする必要がないので、芸人間のやりとりをそのまま流すことができる特徴がある。したがって、どこかアドリブや即興が多く含まれる企画のほうが、そこから生まれる笑いを楽しめる。また、芸人同士の関係性もうかがい知ることができ、いち一般人としてはそこにも面白さを感じる。
とはいえ、尺の長さを成立させるには、前提が必要である。それは企画自体の面白さはもちろん、どれだけ次の話を観たいかという2点であると考える。たとえば、パイオニアであるAmazon Primeのドキュメンタルは「誰が優勝するか?」という点において視聴者に訴求している。今回の「トーク・サバイバー!」は、つまらなかったら降板していくスタイルでの従来の「誰が優勝するか?誰が最後まで残るか?」という点に加え、ドラマパートの面白さによって視聴者を最後まで観るように誘導する。バラエティパートとドラマパート、どちらもクオリティとしては非常に高いもので、片方が足を引っ張っているということはない。
そもそも企画自体も面白い。「面白いエピソードトークを話した人が勝ち」というよくあるルールであるが、ドラマの延長線上でやってることが面白い。それぞれの役割を壊してはいけないという独特の緊張感から来る“笑ってはいけない”感や、ドラマであることを逆手に取ったメタ的な笑いが新しい(序盤の飯尾や後半の大悟の話はスゲーおもしろかった)。こういうストリーミングサービスの企画は、最終的に下ネタや身内ネタが多くなりがちであるが(まあ、ドキュメンタルのことを言っている)、ドラマパートのおかげなのか、そういったものは比較的少なかったように思う。別に下ネタや身内ネタは笑えるけれど、お笑いの才能がある人々にはふつうの話で笑わせてほしいと思っていたので、この仕組みはスゴイ発明だと思った。
ドラマパートも、最初はコントの延長戦なんだろうと思っていたけれど、最終的には普通に見入ってしまった。もちろん、笑える部分もあるけれど。というか、芸人がマジメに演技しているというその一点においてもすでに面白いような気もする。終盤のほうの伏線回収ラッシュは、良質なドラマを観た感じがある。バラエティ×ドラマがここまで面白いとは…。佐久間Pは天才的な発明をしてしまったのだ。
バラエティ×ドラマという新しい発明をネットフリックスの製作力で番組するとスゴイものができてるぞ!!!! 明日以降の活力をもらえたいい番組であった。
↓に1番好きなくだりを貼り付けておく。