00年代のネット民が感涙を流す映画『リゾートバイト』を観た

00年代のネット民が感涙を流す映画『リゾートバイト』を観た

 2chカルチャーの変遷については、年代を追っていくと面白いんじゃないかと思う。90年代は完全なアングラカルチャーとして成長し、00年代にはまとめブログやニコニコ動画、おもしろフラッシュ倉庫などで侵食されていき、電車男で火がつき、なんか10年代にはTwitterとかのSNSの拡大でまあだいぶポピュラーになったような希ガス。当方、小学生でPCを触ってそのカルチャーに触れてしまったので、そのへんの文脈や有名コピペなどはだいたい知っているつもりだし、一時期はオカルト板に入り浸るゲキヤバ中学生であった。 そんな自分であるが、リゾートバイトのコピペは読んだことがなかった。鮫島事件やきさらぎ駅の映画化は知っていたが「コピペで読んだことあるしいいや」とスルーしていた立場としたがどうやら良い評判が聞こえてくるので、今回の『リゾートバイト』を観るに至ったわけである。

 観客の感情を揺さぶるのが良い映画なのであれば、この映画は素晴らしい映画である!  ホラー映画が始まったかと思いきや、キラキラした青春アニメが始まったかと思いきや(なかなかこれがおもろい、マジで君の名はのオープニングっぽいところだった)、やっぱりしっかりしたホラーなんだなあと思ったら、ネット民が良く知る“アイツ”が出現し「!?」となり、そこからはやはりこの作品は新海誠だ!となり、ひとしきりコメディシーケンスが続いたのち、やっぱりホラー映画だったんだなあ・・・と思って劇場を去っていく、そんな作品である。

伊原六花が恐怖に巻き込まれていく様子が 『リゾートバイト』ポスター&予告編公開|Real Sound|リアルサウンド 映画部

 

 結論としては、とても楽しめた?作品である。なんか感情が各方面に揺さぶられすぎて、つまらないのか面白かったかの価値判断が未だできない、というのが正しい言い方かもしれない。純正Jホラーを期待していくと拍子抜けをするだろうが、決してふざけているわけではない作品だということは最後まで観ればわかると思う。うん、楽しかったけどよくわからない映画、ということにしよう。

 ネットに転がっている有名な都市伝説コピペを単純に映像化するのではなく、いや単純にキャスト陣の魅力もあって単純な映像化でもそれはそれで楽しめたと思うけれど、「よくこの発想に至ったな」と思わせられる発想と脚本は素直に素晴らしい。都市伝説のクロスオーバーどころではない魔改造。映画を観たあとに、映画の元になったコピペを観たとき、中盤からかなり異なっており笑ってしまった。でも全体を通した感想としては、たしかにこのコピペの映像化といえる。

 あとは後半の伊原六花のビジュアルが完成されていてよかった。元欅坂46が好きだったケヤカスとしては、不協和音以降の平手を思い出すビジュアルで、おお・・・となったのを思い出す。その他の主要キャストも全員魅力的だったのも、この作品がなんだかんだ評価されている要因であろう。

 さくっと気兼ねなく観れる良い一作だった。ぜひとも「妖怪退治しているけどなんか質問ある?」のコピペも映像化してほしいです。これ、定期的に読みたくなる大好きなコピペなんです・・・。