テーマと古川琴音が輝く野心的ホラーの『みなに幸あれ』

映画『みなに幸あれ』公式サイト

 

 年末休暇のとき暇だったので2024年1月に観たい映画を調べていたら、血にまみれた古川琴音知らないホラー映画があるぞ...オッ「第1回日本ホラー映画大賞受賞」とか「日本ホラー映画界の巨匠・清水崇が総合プロデュース」とか目を引く文字が踊っており、何かでみた宣伝文には「誰も見たことのない新しいホラー映画」とまで書いてあり、これは必ず見なければリストに入れていた。上演劇場や上映回数が限られていることもあり、わざわざ公開日に休みをとって(ほかの用事もあったけれど)観に行ったわけでございます。

 こ、これは....確かに「誰も見たことのない新しいホラー映画」だ... というのがファーストインプレッションで、一言で要約すると「古川琴音がひたすらイヤな目に遭う因習村コント」といった感じ。まあ確かに誰も見たことのない新しいジャパニーズホラー映画ではあった...。なんかクソ映画ではないけど、なんか惜しさを感じてしまったという印象である。以下、このあたりを言語化してみる。

 まず映画全体に通底するテーマは、「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」というもので、「地球上感情保存の法則」みたいなものから着想を得たとのこと*1。すなわち、幸せの絶対数は100と決まっていて地球上でそれを奪い合っているだけ、という感じだ。もしくは、相手の幸せ指数をマイナス-100にしてしまえば、自分は200の幸せを得ることができるのかもしれない。しらんけど。このあたりのテーマ設定は、とても世間から共感が得られるものだと感じる。駅構内や橋の下にいるホームレスの不幸のおかげで自分が幸せになっているとは思わない。身近な場面で考えれば、自分が休暇をとってこの映画を観に行ったせいで職場に残された誰かは仕事のしわ寄せが行って大変な思いをしている、と言えるのかも。あるいは、学校で安心してすごせるのは、いじめられている子がひとりいるから矛先がこっちに向かず安心して過ごせるのかも。なんか奪い合うんじゃなくて与え合おうぜみたいなポップスもあるように、いろいろな人に普遍的だけど顕在的ではない「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」というテーマ設定は、かなり優れた着眼点だと思った。

 そしてのほほんとした幸せを過ごしていた古川琴音が、祖父母の家に帰省した際に、その幸せの裏にあった事実を知ってしまい...というのがあらすじだ。逆に言うと、これ以上のあらすじはないといっても過言ではない。事実を知ってしまったあとは、予告や宣伝からもわかるように、ひちすらに古川琴音がイヤで気持ち悪い目に遭いまくり恐怖に突き落とされるという展開。気になったところは多々あれど、古川琴音がホラー映えする素晴らしい俳優であることがわかった。

 ただシーンごとに分割してみていくと、最初に述べた「まるで因習村コント」という評価になってしまう。「ホラーとコメディは紙一重」とはよく言われることだが、それがよくわかる作品というか、どちらかというとあえてコメディに寄せてない? というような気がする。作品全体を通した雰囲気と古川琴音の恐怖演技で作品全体をみればホラーとしての体裁は保っているが、あきらかにシュールを超えたコメディと思しきシーンがあるのはいかがなものかと思ってしまい、気持ちが萎えてしまったシーンがいくつかあります。また、「因習村」ではあるのだが、ある程度文明化されている集落での出来事である。車もあるし、電車に乗ってこれる範囲の因習村であるので、「東京に帰ればいいのに...」という気持ちがどこか頭のすみに残ってしまう。因習村になり切れていないし、逆にテーマ的にすべての人間が関係あることだから、東京に帰っても村と変わらい様子になっていた、みたいな展開もありだったかも。もともと古川琴音も祖父母の家に気味悪さを感じていたという描写も差し込まれるので、あの集落独自の風習みたいなところに収斂されてしまうのはもったいないような気もしないでもない。

 という感じで、普遍的なテーマをエンタメホラーに昇華しきれているかというと微妙だなあ...というような気持ちになった。ただ「誰かの不幸の上に、誰かの幸せは成り立っている」というテーマは、ホラー映画そのものがその構図のうえに成り立っているエンタメであるから、このことをホラーファンは忘れてはいけないんだなあ、と古川琴音がボコボコにされているのを見て思ったポンタヌフであった。

メチャクチャ面白かった青春映画『カラオケ行こ!』

映画『カラオケ行こ!』綾野剛主演で和山やまの人気漫画実写化、歌を通じたヤクザ×中学生の奇妙な友情 - ファッションプレス

 

 戸愚呂弟を演じていたのと同じ俳優とは思えない...!

 

実写ドラマ「幽☆遊☆白書」の戸愚呂弟役の綾野剛がヤバすぎるww(画像) | あのちゃん

 

 だいたい自分が観る映画のジャンルは、大作ブロックバスター・SF・ホラー・アクションと何かしらが劇中で爆発したり登場人物が血を流したりする作品がほとんどであり、いわゆるヒューマン系(というふうな形容の仕方であっているのでしょうか)というか人間ドラマ模様が軸の作品はほとんど観たことがない。とはいえ、まだ新年感覚がかろうじて残っている最中だ、何か新しいことをしたいという気持ちに突き動かされ仕事帰りに『カラオケ行こ!』を観に行った。理由:幽遊白書の戸愚呂弟を演じる綾野剛が良かったから、綾野剛が出ていると聞いて観に行った。

 その結果、胸が締め付けられて目頭が熱くなるハートフルな作品でメチャクチャ面白かった...今年ベスト不可避...(3作しか劇場で観てないけど)。カラオケ大会に向けた歌の練習をしたいヤクザである綾野剛演じる狂児と、変声期に悩む中学3年生の少年である齋藤潤演じる聡実くんの関係性が最高であり、かつ、中学という舞台設定にあの頃の青春を思い出す作品であった(実際にそんな青春があったかはどうかはさておき、青春があったような気に少なくともさせてくれる)。

 合唱部の部長である聡実くんは、中学最後の合唱コンクールで3位入賞した帰り、ふとしたことでヤクザの狂児に出会う。「カラオケ行こ」と誘われたことから、組長主催のカラオケ大会に向けたカラオケレッスンをおこなう。カラオケを通じて絆を深めていく狂児と聡実くん...、お互い同じ日におこなわれるカラオケ大会と合唱発表会に向けてがんばっていくのだが...。という感じの物語。

 こうあらすじを書いても「なんだそれ面白いのか?」というような感じであるが、これがすこぶる面白い。ぱっと見メッチャ怖いヤクザである狂児がマジメに中学生にカラオケのコツを乞うている構図が面白いし、狂児の人懐っこい性格とそれに段々と心を許していく聡実くんとの掛け合いが最高だ。ギャグシーンや小ネタは普通に笑えるものばかりで、劇場では都度都度笑い声が漏れていた。また、聡実くんは実は合唱部においても「変声期でソプラノが出ない」という悩みを抱えていて、ついつい部活をサボってしまうという思春期真っ盛りだ。合唱部編も、失われた(そもそも無かったような気もするが)青春を感じることができてよかった。後輩の和田くんは良いやつすぎる。そんなよくわからないヤクザへのカラオケ指南が織り交ざった聡実くんの青春と成長が、この作品のキモである。

 前編は綾野剛の魅力が溢れる映画で、後編は齋藤潤演じる聡実くんの魅力が溢れる映画だった。年の離れた親戚の兄ちゃんと甥みたいな関係性というか、あるいは年の離れた気の合う兄弟というか、シーンごとに2人の距離感は変わっていく。おまもりのシーンはメチャクチャ良くて、たぶんそういうシーンじゃないんだけどなぜか泣けた。屋上のシーンとか、ところどころコーヒーのCMかと思うくらいの人生賛歌を感じた。

 そして青春は流れゆくもので、決して戻ることのない不可逆的なものだ。そんな移ろう青春のようなものが劇中には多数出てくる。聡実くんの逃避先である「映画観る部」の巻き戻し機能が壊れたビデオデッキや、廃れていき再開発されるみなみ銀座の街、そしてもはや古いヤクザそれ自体...。そんな二度と戻らない青春模様を感じることができて心が浄化された映画だった。

 エンディングの合唱アレンジの聞いたLittle Gree Monsterの『紅』も最高。エンドロールで聴くと本編を思い出し感情が揺さぶり度にブーストがかかり泣けます。『窓ぎわのトットちゃん』ぶりにエンドロールで涙うるうるしました。

 自分もカラオケ自体も自分の声が好きじゃなくて得意ではなかったのだが、「きれいなものしかだめだったらこの街みんな消えてるぜ」的なセリフを思い出しながら、流れゆく不可逆的な日々を楽しむ気持ちでカラオケもいろいろも楽しみたいポンタヌフであった。

 

 

名実ともに終わったDCEU『アクアマン 失われた王国』

Aquaman and the Lost Kingdom (2023) - IMDb

 

 DCEUフランチャイズの最新作にして最終作の『アクアマン 失われた王国』は、メッチャ面白くなかったです...。仕事はじめの週末に超絶空腹状態で観たからゆえの面白くなさだと信じたいんですが...。名実ともにDECUフランチャイズの終わり。

 

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2024年にやりたい100のこと

今週のお題「2024年にやりたいこと」

せっかくなので100個挙げてみた。かなり適当。年末に答え合わせをしたい。

映画

  • 1.映像作品を観たらFilmarksに記録することを習慣にする

  • 2.映画を月3回以上劇場で観る

  • 3.家で映画を観るときは無理のない範囲で英語字幕で視聴する

  • 4.新作映画を観た後は点数化して記録して年末ランキング作りやすくする

  • 5.猿の惑星シリーズを観る

  • 6.猿の惑星新作を観る

  • 7.マッドマックスシリーズを観る

  • 8.マッドマックス新作を観る

  • 9.MCUドラマをちゃんと追いかける
    →...現時点でWhat if...?を観ておりません。今週からECHOも始まるだと!?

音楽

  • 10.音楽の新作を定期的にチェックする
  • 11.2024年配信の好きな曲プレイリストをつくる
  • 12.ライブに2回以上行く
    →4月に1つ行くことが決まっているので、あともういっこ。

身体

  • 13.ランニングシューズを買ってランニングする
  • 14.眼科に行って検診を受ける
  • 15.歯医者に行って検診を受ける
  • 23.ダイエットして75キロになる
  • 24.有酸素運動を週4回以上おこなう
    健康診断の結果がCだったのでがんばりたい。

ゲーム

  • 16.トロフィーコンプリートを3作品以上する
  • 17.毎月新作ゲームを✓する習慣をつける
  • 18.積みゲーを2作以上クリアする
  • 19.ホライゾンをトロコンする
    →すでに達成済み!幸先よい
  • 20.ポケモンスリープを習慣にする
  • 21.龍が如く8をやる
  • 22.孫悟空のゲームをやる

仕事

  • 25.残業時間平均15時間以下に抑える
  • 26.月1回以上のペースで有給をとる

食事

  • 27.あすけんを毎日記録することを習慣にする
  • 28.飲み物をブラックコーヒー・お茶・水だけにすることを習慣にする
  • 29.弁当づくりの習慣を継続する
  • 30.暴飲暴食は週1食にする
  • 31.高いレストランに行く
  • 32.高い寿司を食う
  • 33.コース料理を食う
  • 34.あまり食べる機会のない外国料理屋に行く
  • 35.白湯を毎朝飲む
  • 36.朝ごはんを毎日食べる
  • 37.業務用スーパーに月1くらいで行く
  • 38.週末は作り置きをつくる

生活

  • 39.ストレッチを習慣化する
  • 40.ランニングウェアをそろえる
  • 41.5時に起床することを習慣にする
  • 42.妻に指摘された事項(習慣)を何かしら改善する
  • 43.無駄にスマホをいじらない習慣をつける
  • 44.XXXXXXXXXXXXX
    →too personalなため伏字です。
  • 45.服の断捨離をする
  • 46.新しいおしゃれ着を買う
  • 47.長距離散歩を4回やる
  • 48.メガネを新調する
  • 49.食後にすぐ洗い物をする習慣をつける
  • 50.粗大ごみの処分をする
  • 51.妻がしたいことを実現する
  • 52.住宅購入計画を立てる
  • 53.通勤時間をだらだらスマホ使わない
  • 54.家のなかでスマホの置き場をきめる
  • 55.スマホ内の整理をする
  • 56.毎日ごみを捨てる
  • 57.ペットボトルを外でなるべく買わない
  • 58.コンビニになるべく行かない
  • 59.カギ置き場を決めて無くさない状態にする
  • 60.サイフ置き場を決めて無くさない状態にする
  • 61.何かしらの資産運用をする
  • 62.災害用の備蓄をする
  • 63.なくしたヘッドホンを探して見つける
  • 64.好きな香水をきめる
  • 65.購読している新聞を解約するかちゃんと読む
  • 66.家の水回りの大掃除を定期的にやる
  • 67.家のキッチンの大掃除を定期的にやる
  • 68.ブログを週1以上で投稿する
  • 69.家庭用のモニターを買い替える

テレビ

  • 70.テレビ録画の整理をする
  • 71.録画が溜まったゲームゲノムを観る
    →いま3つくらいみた。面白いです
  • 72.録画用HDDを溜めない

勉強

  • 73.英語学習の計画を立てる
  • 74.立てた計画に基づく英語学習を習慣化する
  • 75.英語の何かしらの試験を受ける
  • 76.何か(英語以外)学問や資格を勉強する
  • 77.ANKIで英単語を毎日勉強する
    →そろそろまじめに英語の勉強しないと職場から怒られるので...

本・漫画

  • 78.本を10冊以上読む
  • 79.本を20冊以上読む
  • 80.読んだ本をブクログに記録する
  • 81.持ってる本を断捨離する
  • 82.積読してるジョジョの漫画を読む
  • 83.積読してる三体を読む
  • 84.本を読んだらブクログに登録することを習慣にする
  • 85.積読してるネウロの漫画を読む
  • 86.毎月新刊を✓する習慣をつける
  • 87.家の漫画を整理する
  • 88.常に職場の図書館で本を借りている状態にする

旅行

石川出身が災害映画『コンクリート・ユートピア』を観た感想

『コンクリートユートピア』 2024年1月5日公開

 北陸を襲った震災のせいで予期していない文脈を日本において帯びてしまった韓国映画で新年映画始めをしてまいりました。被災地は当方の地元であることもあって、新年一発目の劇場鑑賞映画がなかなか心に残った作品になって良かったです。

 ちなみに『非常事態』『新感染半島 ファイナル・ステージ』と3年連続の新年一発目が韓国映画ということでなんか嬉しかったです!

영화 '콘크리트 유토피아' 스틸컷. 롯데엔터테인먼트 제공

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序盤の西成の犯罪版日常ほのぼのムービー『BAD LANDS バッド・ランズ』

『BAD LANDS バッドランズ』2023年9月公開

 2024年の映画初めとしてはネットフリックスで観ました。期待した暴力描写は控えめではあったものの、犯罪版日常ほのぼのムービーからの急転直下の後半の展開と魅力的なキャラクター設定のおかげで楽しくみれた作品でした。

BAD LANDS バッド・ランズ

 

・2024年の記念すべき1作目は、2023年に観たかったけど観に行けなかった『BAD LANDS バッドランズ』。クライムサスペンスと聞くと酒!暴力!女!というような感じを期待していたのだが、そのへんの要素が少なくてビックリ。

・主人公のネリのオレオレ詐欺日常編から始まるのが面白い。序盤からオレオレ詐欺のようすが描写されるのだが、オレオレ詐欺用語や登場人物の関係性の説明がなく進んでいく。コーヒーを飲んだり、土手焼きを食べたり、自炊したり部屋の中に懸垂器具があったり、犯罪版日常系という感じがしてよい。

・西成のドヤ街の感じがその日常感を醸成しているような気もする。ネリの周りの受け子たちのバックグラウンドはあまり語られないが、「教授」や「ボクサー」というあだ名からなんとなくその人の人生を考えられるのがよい。

・そしてこの多く語らない姿勢というのが、この作品の特徴な気がする。酒!暴力!女!というようなクライム系映画に抱いている描写は、きっと主人公の過去を映像として描写すれば描くことができるが、この映画はそれをしない。登場人物との会話やさりげない描写からでそれを明らかにしていくのが、逆にいろいろ想像が働くので感情をともなってより感情移入できた気がする。

・だが、それにも限界はあるような気がしたのは、中盤以降の山田涼介演じる弟の大きな決断にビックリしてしまう。映像で観れていないぶん、映像とセリフからいろいろと想像をせざるを得ないのだが、ここまで血のつながりのない姉のことを大切に想っていたとは...という感じはぬぐえない。

・主演の安藤サクラは勿論、山田涼介と天童よしみとサリngROCKなど登場人物全般のビジュアル(見た目も所作もせりふも)がすごい良かったです。それもあってか飽きずに最後まで観れた気がいたします。そしてゲスト出演の岡田准一もカッコよかった。

・あとは、「ピラミッド構造」というのがテーマとして横たわっている作品だった。特殊詐欺グループ内のピラミッド構造から、日本を牛耳る大きなピラミッド構造まで。奪れる者たちから奪うんだ」という強い意志は登場人物全員に共通された意識ではあるが、それと同時に周囲の人に愛情を注げたかどうかが周囲とネリの違いか。

・上記のテーマを現実に起きた出来事(「忖度」、とか。そういえばあれも大阪か)をもとに描きながらも、登場人物の魅力で飽きずに観れる作品になっている日常系犯罪ムービーからの急転直下という感じで面白かった。ただ過去を想像にゆだねたぶん、大きなカタルシスは無かったかな...という感じ。

・原田監督の『ヘルドックス』も観たくても観れなかったのでまた時間見つけて見ようと思います。

(2024年1月4日Netflix視聴/2024年旧作1作目通算1作目)

2023年に観た新作映画ランキングを考えました

 さて早いもので年末がやってまいまりした。実はこのブログを開設した当初の目的は、映画を観た記録を残して「年末に年間ベスト映画ランキングを発表したい...!」という動機に基づくものでしたので、それが叶ったことになります。

  残念なことに配信限定の新作を観た記録と記憶は遥か彼方なので、今年劇場で鑑賞した新作... たぶん44作品くらい!! のなかから、ベスト10を考えたので発表したいと思います。味わったエンタメを記録する媒体としてのブログのつもりだったんですが、気づいたら映画ばかり観ていました。ゲームのほうが好きなつもりだったんだけれど、映画のほうが比較的はずれを引いても我慢できるからなのかな。44作品を観て個人的な人生のなかでも最も映画を観た1年でしたが、来年はさらに劇場通いを続けたいですな。

 そしてそもそもまとめていて思ったのが、観ている映画にそもそも隔たりがあるという...大型フランチャイズ・アニメ・ホラー・アクション・サスペンス...このあたりのみを観続けておりますので、だいぶと偏見にまみれたランキングな気もします。

 

新作映画ランキング

第10位:レトロでポップなサイコキラーの誕生譚映画

『Pearl』(2022年7月公開)

Why Pearl Works as an Ode to Vintage Camp Cinema

 たしか仕事帰りに観たんだけど、かなり印象的な作品でした。スラッシャーっぷりを楽しんでストレス発散!!と思ったものの、パンデミックと戦時下というどこかここ最近の世界情勢を感じさせる時代背景と抑圧される主人公パールをみて少しどんよりしたあと、ようやく期待していたスラッシャーシーンが始まるのだが...最後のミア・ゴスの笑顔で怖えよ!!!!と叫び、心に残ってトボトボと帰っていったのだった... 続編の『MaXXXine』も楽しみです。来年劇場で観れるかな?

 

第9位:まさにゼロ年代のネット怪談の魔改造の夜映画

『リゾートバイト』(2023年10月公開)

伝説のネット怪談!映画『リゾートバイト』が予想を超えてきた!|シネマトゥデイ

 『鮫島事件』や『きさらぎ駅』が実写されていくのを冷めた目で眺めてみたのだが、ゼロ年代のネット文化に染まりきった人間ですので第三弾はスルーすることができなかった。実際みてみたら何か説明ができない面白さで、新海誠風の青春オープニングが流れたと思ったら中盤はちゃんとしたホラーとして怖く、最後にネット怪談が魔改造されて襲い掛かってきて、ちゃんと最後はJホラーしているわけのわからない映画だった。

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第8位:人生はすべて遊びです!!!!!!!!!!!映画

『首』(2023年11月公開)

首 : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 『世界まる見え!テレビ特捜部』に出ているビートたけしで、ピコピコハンマーで所ジョージが叩かれているのみてなんてひどい人だと憤慨した幼児時代を送っておりましたが、その数十年後にこんな形で再開するとは。金をかけた合戦描写は同時期にみたナポレオンより面白かったし、人間模様を通じて戦国武将に向けられる綺麗なイメージを脱していくのも見ごたえあり。

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第7位:洋画ホラーっぽくない降霊ホラー映画

トーク・トゥー・ミー』(2023年12月公開)

 直近で見たことによるバイアスがかなり掛かっているは否定しないけれど、現代の若者が抱える諸々を、降霊ホラーとして手短くに美しくまとめている良い映画だった。洋画ホラーっぽくない怖がせ方も多々あって、『ヴァチカンのエクソシスト』や『死霊館のシスター』、『エクソシスト』続編など、洋画の悪魔モノに少し飽きが来ていたのでスゴイ評価します!!

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第6位:まさかのダークホースの今年一番泣いた映画

『窓ぎわのトットちゃん』(2023年12月公開)

映画『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子の幼少期描く自伝的小説をアニメ映画化、小栗旬・杏ら声優キャストに - ファッションプレス

 まっったく観る気がなかった映画なんですが(スミマセン)、妻が観たいと言うので公開日週末に鑑賞したら涙が止まらなかった。なんですかこれは...... 内容の面白さもさることながら、映画に限らずの食わず嫌いは良くないという痛烈な気づきを自分与えてくれたこともこの映画を観て得たことでもあります。とても良い綺麗な映画でした。あいみょんの主題歌『あのね』を今でも聴くと目が潤みます。

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第5位:『スパイダーバース』を個人的に超えたカートゥーン映画

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』(2023年8月公開)

Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem (2023) - IMDb

 『スパイダーバース』シリーズでアニメ表現はひとつ違うフェーズに達したように思っていたが、アニメ表現をさらに上のフェーズに引き上げたと個人的に思っている映画です。同じアメコミ原作作品でそれをやるのも胸アツ。ストーリーも全くミュータントタートルズを知らない自分でもとても楽しめました。まあ既視感を感じたことは否まないが、アニメ表現がすごすぎて気にならず。個人的にはスパイダーバース第2作よりも面白かったです。

 

第4位:マルチバースを使いこなし映画

『ザ・フラッシュ』(2023年6月公開)

Cryptic HD QUALITY on X: "The Flash Trailer 2 4K THREAD 4096x2116 Trailer  Provided by ©2023 Warner Bros. Pictures Like+Follow+RETWEET for more The  Flash Content⚡️ Do not request stills of sequences with

 アメコミ界隈にいるエコーチェンバーのせいな気もするが、マルチバース設定が世の中に受け入れられた昨今、この映画こそがマルチバースを上手く使いこなした映画だった気がする。エズラミラーのスキャンダルとDCEUをめぐるゴタゴタのせいで今から振り返ると「あんな面白くなかったのでは」という気持ちも生じたのだが、鑑賞当時に胸が躍った気持ちが忘れられなかった。MCUと違って、とは言わないが、別バースのキャラクターの格が下がっていないのものいい。それだけにゴタゴタが残念。



第3位:エンディングの音頭が大好き映画

『戦慄怪奇ワールド コワすぎ! 』(2023年9月公開)

戦慄怪奇ワールド コワすぎ! : 作品情報 - 映画.com

 カルト的人気を誇るモキュメンタリーシリーズのコワすぎ!シリーズをしっかりと予習して迎えた新作は、芸能業界の抱える問題点にかなり真摯に向き合った作品でありながらも、エンディングのコワすぎ音頭で笑って帰れる名作だった。ここまでメッセージ性を抱えながらも、ちゃんとモキュメンタリーエンタメとしての面白さとバカバカしさまで感じられるバランスはとても良かった!!

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第2位:なぜか爆発的人気が出てしまった国民的アニメ映画

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 』(2023年11月公開)

映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」鬼太郎の父の入浴シーンやSNSで話題の長田幻治(CV.石田彰)も! 新場面写真お披露目 | アニメ!アニメ!

 なぜかTwitterの観測範囲内では爆発的人気で出ているようで笑う。なにがヒットするかはよくわからないものだ。キッズ時代から水木しげるの妖怪事典を図書館で借りて読みまくっていたものとしては、水木作品が映画館で観れるのはとても面白く、そして救いと容赦がないストーリーな本作を観れたのは大人になった今に水木作品と改めて向き合うタイミングとしてはちょうどよかった。ゴジラと言いトットちゃんと言い本作と言い、かつての戦争を描いた作品が多いエンタメ作品のが印象的だった1年だった。

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第1位:身体中に浴びるゲーム好きが歓喜するエンタメ映画

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023年4月公開)

映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』Blu-ray+DVDが9月6日発売 - TOWER RECORDS ONLINE

 ゲームの原体験は、実は家にあった初代のスーパーマリオブラザーズでした。そこからおれのエンタメ好き人生が始まったことを考えると、ついに劇場でマリオが観れる時代になったかと感涙した。もちろん観終わったあとに「楽しい!!」以外の感情が残らないという批判は否定はしないが、それこそゲームの原体験として感じていた感情ではなかったかと思えてしまい、心に残っている。これから任天堂IPがどんどん映画化していくのだろうが(そして一抹の不安を覚えるのも事実だが)、記念すべき1作目として素晴らしいスタートダッシュを切れたのではないか? と思います。マリオワンダーも面白かった!!

ということで...

 ということで、なかなか映画ライフを楽しめた1年間でした。4月から6月くらいまでは忙しくてあまり見れないこともあったので(そしてスルーした作品もあるので)、2024年はコンスタントに映画館に通う1年にしたいと思います。

 そしてこうしてまとめて観ると自分の好みが可視化されておもしろいな...と思いました。ホラーとアニメが好きなんだなあ...と思ったポンタヌフであった。ちなみにワーストは『「鬼滅の刃」上限集結、そして刀鍛冶の里へ』です。拝金主義は許さない!!!(せめて映画っぽくまとめてくれ)

 

以上